MESSAGE FROM
PRESIDENT & CEO

トップメッセージ

主・投資家の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

当社テックポイント・インクは、2017年9月29日、東京証券取引所マザーズ市場(現・グロース市場)への上場から6周年を迎えることが出来ましたが、これも株主・投資家の皆様をはじめ、ご関係各位のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

振り返りますと上場以降の今日まで、当社および半導体業界を取り巻く事業環境は大きく変動しました。大きなものだけでも、米中間の経済摩擦、新型コロナウイルス(COVID-19)感染の拡大、ウクライナ問題発生がありました。

なかでも、新型コロナウイルスの流行によるライフスタイルの変化は電子機器とその部品である半導体の需要を大幅に増加させ、半導体生産余力のひっ迫を呼び起こしましたが、需要が一巡し、またロシアによるウクライナ侵攻等を契機とする世界的インフレが進行し経済が低迷する中で、2022年第2四半期を過ぎると一転して電子機器の余剰が問題となり、追加生産を抑制、半導体部品を含む部品の追加調達が抑えらました。この結果、機器メーカーのみならず多くの半導体メーカーも減収・減益となりました。

そのような環境下において、当社は車載カメラシステム市場および監視(防犯)カメラシステム市場という成長性の高いデジタル機器向けの半導体市場にリソースを集中させ、さらに徹底したコスト削減など、効率化を推し進めるとともに販売先・仕入先との関係強化に努めて参りました。

電子機器メーカーの在庫調整はなお続いております。最近の業界の一般的認識は全般的な在庫調整は2023年いっぱい継続するとの見通しです。しかしながら、在庫調整は完成品メーカーごとに深刻度が異なること、完成品需要の回復も分野ごとに異なることから、回復の兆しに敏感になって最善の施策を講じることが肝要と考えております。

当社ではこれまで以上に積極的に新製品開発を進め、今後の成長エンジンとなり得る新たな戦略商品の開発にも取り組むとともに、競争力強化のための既存製品改良に取り組んで参ります。

CMOSイメージセンサーは開発を終えカメラメーカーにサンプルを提供中です。カメラメーカーの部品調達需要の回復動向を見極めて積極的な販売を展開して参ります。ドアフォン向け半導体は全体環境が低調にもかかわらず複数のメーカーに採用され2023年第4四半期から量産に移行、少量からのスタートですが2024年度に本格化する予定です。

次に、既存製品の競争力強化です。当社の製造プロセスは他社比大きめの線幅(ナノメーターで表現される)で、ファウンドリの生産ラインが豊富な一方、シリコンウェファーのコストが高いため、線幅を縮小しコストを下げることを課題と考えておりました。しかし、半導体生産が逼迫する中では生産プロセスを変更する発注が出来ず時間を要しましたが、開発を進めており、2024年に量産を予定しております。

加えて当社では、車載用に新たにSoC(System On a Chip)の開発を開始しております。2023年7月に取得した知的財産(IP)をもとに、今後大きな拡大が期待できる電子ミラーに向けて、AIによる画像分析機能による安全運転のための各種警告、ドライブレコーダー記録のためのデータ圧縮等をワンチップに備えるSoCとなります。これが完成しますと、当社は画像(光)の入口から伝送を経て表示するまでの全機能に関する技術を有することとなり、トータルソリューションの提供に向け大きく進むことになります。

当期、2023年度は当社製品の需要家であるカメラメーカーにおいて重度の在庫調整が継続する事業環境からのスタートとなりました。調整局面はまだ続くものと想定され、調整が終わり健全化するまでの一般的な見通しは、「当期上半期まで」、から「当期いっぱいまで」、と先送りされております。

悲観度を増した環境観測ではありますが、当社ではAIを備えた車載用SoC開発着手のための知的財産の取得費用・開発体制の拡大といった経費の増加要因はありながらも、新規顧客の獲得・新機種での採用が進んでいることから、通期の見通しを当初公表のまま据え置きといたします。

当社では世界6拠点の社員が一丸となり、より一層魅力のある新商品開発に取り組んでおりますので、引続きご声援のほどよろしくお願い申し上げます。

最後に、新型コロナウイルスとの戦いに最前線で臨んでおられる医療関係者の皆様に、心からの感謝と敬意を表しますと共に、一日も早くコロナ感染が終息し、平穏な日々が戻ることを願っております。

最高経営責任者 兼 取締役社長
小里文宏

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